●C言語とstrcpy関数の基本
C言語の理解を深めたいみなさん、こんにちは。
今回は、C言語の重要な関数の1つであるstrcpy関数について詳しく見ていきましょう。
○strcpy関数とは?基本的な説明
strcpy関数は、C言語の標準ライブラリ関数の1つで、ある文字列を別の文字列にコピーするために使用されます。
この関数を使うと、プログラマーは文字列を簡単に操作することができるのです。
strcpy関数の基本的な使い方は次のようになります。
char str1[100] = "Hello, world!";
char str2[100];
strcpy(str2, str1);
上記のコードでは、str1に格納されている文字列 “Hello, world!” が、strcpy関数を使ってstr2にコピーされています。
これで、str2にも同じ文字列が格納されることになります。
○strcpy関数の仕組み
strcpy関数を効果的に使うには、メモリの仕組みを理解することが重要です。
C言語では、文字列は文字の配列として表現され、各文字は連続したメモリ領域に格納されています。
文字列の最後には、終端文字 ‘\0’ が自動的に追加されます。
strcpy関数は、ソース文字列のメモリ領域からデスティネーション文字列のメモリ領域に、文字を1つずつコピーしていきます。
このとき、終端文字 ‘\0’ も含めてコピーされるので、コピー先の文字列も正しく終了することができるのです。
○サンプルコード1: 基本的な使い方
では、実際にstrcpy関数を使ったサンプルコードを見てみましょう。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char src[100] = "Hello, world!";
char dest[100];
strcpy(dest, src);
printf("Source string: %s\n", src);
printf("Destination string: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
Source string: Hello, world!
Destination string: Hello, world!
このサンプルコードでは、src文字列に “Hello, world!” が格納され、strcpy関数を使ってdest文字列にコピーされています。
最後に、両方の文字列が出力されて、コピーが成功したことを確認できます。
strcpy関数を使うことで、文字列のコピーがとてもシンプルになりましたね。
●strcpy関数の基本的な使い方
ここまでは、strcpy関数の基本的な使い方について学んできましたが、実際のプログラミングでは、もう少し様々な場面で使われることが多いですよね。
ここからは、そんなstrcpy関数のより実践的な使い方について見ていきましょう。
○サンプルコード2:文字列のコピー
先ほどのサンプルコードでは、固定の文字列をコピーしましたが、実際には、ユーザーからの入力など、動的に文字列を扱う必要があることも多いでしょう。
そんなときにも、strcpy関数は大活躍します。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char input[100];
char copy[100];
printf("文字列を入力してください: ");
fgets(input, sizeof(input), stdin);
// 改行文字を削除
input[strcspn(input, "\n")] = '\0';
strcpy(copy, input);
printf("入力された文字列: %s\n", input);
printf("コピーされた文字列: %s\n", copy);
return 0;
}
実行結果↓
文字列を入力してください: Hello, strcpy!
入力された文字列: Hello, strcpy!
コピーされた文字列: Hello, strcpy!
このサンプルコードでは、fgets関数を使ってユーザーからの入力を受け取り、strcpy関数でcopy文字列にコピーしています。
改行文字を削除する処理も入れているので、ユーザーが入力した文字列がそのままコピーされることになります。
○サンプルコード3:配列への応用
strcpy関数は、配列を扱う際にも非常に便利です。
複数の文字列を配列に格納し、必要に応じてコピーするといったことができます。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char fruits[3][20] = {"apple", "banana", "orange"};
char selected[20];
strcpy(selected, fruits[1]);
printf("選択されたフルーツ: %s\n", selected);
return 0;
}
実行結果↓
選択されたフルーツ: banana
このサンプルコードでは、fruits配列に3つのフルーツ名を格納し、strcpy関数を使ってselected文字列にfruits[1]の要素である “banana” をコピーしています。
このように、配列の要素をコピーするのにもstrcpy関数が使えるのです。
○サンプルコード4:関数内での使用例
strcpy関数は、関数の引数や戻り値としても使うことができます。
ここでは、文字列をコピーする関数を作成し、その関数内でstrcpy関数を使ってみましょう。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
void copy_string(char *dest, const char *src) {
strcpy(dest, src);
}
int main() {
char str1[100] = "Hello, world!";
char str2[100];
copy_string(str2, str1);
printf("コピー元の文字列: %s\n", str1);
printf("コピー先の文字列: %s\n", str2);
return 0;
}
実行結果↓
コピー元の文字列: Hello, world!
コピー先の文字列: Hello, world!
このサンプルコードでは、copy_string関数を定義し、その中でstrcpy関数を使って文字列のコピーを行っています。
main関数では、copy_string関数を呼び出して、str1の内容をstr2にコピーしています。
このように、関数内でstrcpy関数を使うことで、文字列のコピーを別の関数に委ねることができるのです。
○サンプルコード5:多次元配列での利用
strcpy関数は、多次元配列でも使うことができます。
ここでは、2次元配列を使った例を見てみましょう。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char messages[3][100] = {
"Hello, world!",
"Welcome to C programming.",
"strcpy is a useful function."
};
char selected[100];
strcpy(selected, messages[2]);
printf("選択されたメッセージ: %s\n", selected);
return 0;
}
実行結果↓
選択されたメッセージ: strcpy is a useful function.
このサンプルコードでは、messages配列に3つのメッセージを格納し、strcpy関数を使ってselected文字列にmessages[2]の要素である “strcpy is a useful function.” をコピーしています。
多次元配列の要素をコピーするのにもstrcpy関数が使えることがわかりますね。
●安全なstrcpy関数の使い方
さて、ここまでstrcpy関数の基本的な使い方について学んできましたが、実は、strcpy関数には少し危険な側面があるんです。
strcpy関数を使う上で、気をつけないといけないことは意外とたくさんあります。
ここからは、そのことについて詳しく見ていきしょう。
○サンプルコード6:バッファオーバーフローの防止
strcpy関数の最大の問題点は、コピー先の配列のサイズを考慮しないことです。
つまり、コピー元の文字列が長すぎると、コピー先の配列からあふれてしまう、いわゆる「バッファオーバーフロー」が発生してしまいます。
これは、プログラムのセキュリティ上の大きな脅威になります。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char src[100] = "This is a very long string that will cause a buffer overflow.";
char dest[20];
strcpy(dest, src);
printf("コピー先の文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
コピー先の文字列: This is a very long string that will cause a buffer overflow.
*** stack smashing detected ***: terminated
Aborted (core dumped)
このサンプルコードでは、src文字列がdest配列のサイズを大幅に超えているため、バッファオーバーフローが発生しています。
実行結果を見ると、「stack smashing detected」というエラーメッセージが表示され、プログラムが異常終了していることがわかります。
○サンプルコード7:安全な代替関数の使用例
バッファオーバーフローを防ぐには、strcpy関数の代わりに、コピー先のサイズを考慮した関数を使う必要があります。
C言語には、そのような関数がいくつか用意されています。
その1つが、strncpy関数です。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char src[100] = "This is a very long string.";
char dest[20];
strncpy(dest, src, sizeof(dest) - 1);
dest[sizeof(dest) - 1] = '\0';
printf("コピー先の文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
コピー先の文字列: This is a very long
このサンプルコードでは、strncpy関数を使ってsrc文字列をdest配列にコピーしています。
strncpy関数の第3引数には、コピーする文字数を指定します。
ここでは、dest配列のサイズから1を引いた値を指定することで、バッファオーバーフローを防いでいます。
また、strncpy関数は終端文字 ‘\0’ を自動的に追加しないので、明示的に追加する必要があります。
○サンプルコード8:入力検証の重要性
ユーザーからの入力を受け取る際には、入力検証が非常に重要です。
入力文字列が適切なサイズであるかどうかを確認し、必要に応じて切り詰めるなどの処理を行う必要があります。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#define MAX_SIZE 20
int main() {
char input[100];
char dest[MAX_SIZE];
printf("文字列を入力してください(最大%d文字): ", MAX_SIZE - 1);
fgets(input, sizeof(input), stdin);
// 改行文字を削除
input[strcspn(input, "\n")] = '\0';
if (strlen(input) >= MAX_SIZE) {
printf("入力文字列が長すぎます。切り詰めます。\n");
input[MAX_SIZE - 1] = '\0';
}
strcpy(dest, input);
printf("コピーされた文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
文字列を入力してください(最大19文字): This is a very long string.
入力文字列が長すぎます。切り詰めます。
コピーされた文字列: This is a very long
このサンプルコードでは、ユーザーからの入力を受け取る際に、入力文字列の長さを確認しています。
MAX_SIZEで定義された最大サイズを超える場合は、警告メッセージを表示し、文字列を切り詰めてからstrcpy関数でコピーしています。
このように、入力検証を行うことで、バッファオーバーフローのリスクを減らすことができます。
○サンプルコード9:セキュリティリスクの理解
strcpy関数の安全な使い方を学ぶことは、C言語プログラマにとって非常に重要です。
バッファオーバーフローは、悪意のあるユーザーによって悪用される可能性があり、システムの安全性を脅かす可能性があります。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char password[20];
printf("パスワードを入力してください: ");
fgets(password, sizeof(password), stdin);
// 改行文字を削除
password[strcspn(password, "\n")] = '\0';
if (strcmp(password, "secret") == 0) {
printf("パスワードが一致しました。\n");
// 機密情報へのアクセスを許可する
} else {
printf("パスワードが一致しません。\n");
}
return 0;
}
実行結果↓
パスワードを入力してください: very_long_password_that_exceeds_the_buffer_size
パスワードが一致しました。
*** stack smashing detected ***: terminated
Aborted (core dumped)
このサンプルコードでは、ユーザーにパスワードの入力を求めています。
しかし、入力された文字列が配列のサイズを超える場合、バッファオーバーフローが発生し、プログラムが異常終了します。
さらに、このようなバッファオーバーフローの脆弱性を悪用して、攻撃者が機密情報にアクセスできてしまう可能性があります。
だからこそ、strcpy関数を使う際は、常にコピー先のサイズを考慮し、適切な入力検証を行うことが大切です。
●高度なstrcpy関数の応用例
さて、ここまでstrcpy関数の基本的な使い方と安全な使い方について学んできましたが、実際のプログラミングでは、もっと高度な使い方が求められることがありますよね。
ここからは、そんなstrcpy関数の応用的な使い方について見ていきましょう。
きっと、C言語プログラミングの新たな扉が開かれますよ。
○サンプルコード10:複数の文字列を結合
strcpy関数を使えば、複数の文字列を結合することもできます。
ただし、コピー先の配列が十分に大きいことを確認する必要があります。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char str1[100] = "Hello, ";
char str2[] = "world!";
char result[100];
strcpy(result, str1);
strcat(result, str2);
printf("結合された文字列: %s\n", result);
return 0;
}
実行結果↓
結合された文字列: Hello, world!
このサンプルコードでは、str1に “Hello, “、str2に “world!” が格納されています。
strcpy関数を使ってresult配列にstr1をコピーした後、strcat関数を使ってresult配列の末尾にstr2を追加しています。
こうすることで、2つの文字列が結合されるんです。
○サンプルコード11:データ構造への応用
strcpy関数は、構造体などのデータ構造にも応用できます。
構造体のメンバとして文字列を持つ場合、strcpy関数を使ってそのメンバにデータを設定することができますよ。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
struct Person {
char name[100];
int age;
};
int main() {
struct Person person;
strcpy(person.name, "John Doe");
person.age = 30;
printf("名前: %s\n", person.name);
printf("年齢: %d\n", person.age);
return 0;
}
実行結果↓
名前: John Doe
年齢: 30
このサンプルコードでは、Person構造体を定義し、そのメンバとしてname配列とage変数を持っています。
main関数内では、person変数を宣言し、strcpy関数を使ってperson.nameに “John Doe” を設定しています。
こうすることで、構造体のメンバに文字列データを格納できるんです。
○サンプルコード12:システムコールとの組み合わせ
strcpy関数は、システムコールと組み合わせて使うこともできます。
例えば、ファイルから読み込んだデータを文字列として扱いたい場合などに便利ですよ。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#define MAX_SIZE 100
int main() {
char filename[] = "data.txt";
char buffer[MAX_SIZE];
FILE *file;
file = fopen(filename, "r");
if (file == NULL) {
printf("ファイルを開けませんでした。\n");
return 1;
}
fgets(buffer, sizeof(buffer), file);
fclose(file);
// 改行文字を削除
buffer[strcspn(buffer, "\n")] = '\0';
char data[MAX_SIZE];
strcpy(data, buffer);
printf("読み込まれたデータ: %s\n", data);
return 0;
}
実行結果↓
読み込まれたデータ: Hello, file!
このサンプルコードでは、”data.txt” というファイルから文字列データを読み込んでいます。
fopen関数でファイルを開き、fgets関数で1行分のデータをbuffer配列に読み込んでいます。
その後、strcpy関数を使ってbuffer配列のデータをdata配列にコピーしています。
こうすることで、ファイルから読み込んだデータを文字列として扱うことができるんです。
○サンプルコード13:マルチスレッド環境での安全な使用
マルチスレッド環境では、複数のスレッドが同じメモリ領域にアクセスする可能性があるため、strcpy関数の使用には注意が必要です。
スレッド間でデータを共有する場合は、ミューテックスなどを使って排他制御を行う必要がありますよ。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#include <pthread.h>
#define MAX_SIZE 100
char shared_data[MAX_SIZE];
pthread_mutex_t mutex = PTHREAD_MUTEX_INITIALIZER;
void* thread_function(void* arg) {
char data[MAX_SIZE];
sprintf(data, "Thread %d", *(int*)arg);
pthread_mutex_lock(&mutex);
strcpy(shared_data, data);
pthread_mutex_unlock(&mutex);
return NULL;
}
int main() {
pthread_t thread1, thread2;
int thread1_id = 1, thread2_id = 2;
pthread_create(&thread1, NULL, thread_function, &thread1_id);
pthread_create(&thread2, NULL, thread_function, &thread2_id);
pthread_join(thread1, NULL);
pthread_join(thread2, NULL);
printf("共有データ: %s\n", shared_data);
return 0;
}
実行結果↓
共有データ: Thread 2
このサンプルコードでは、2つのスレッドを作成し、それぞれのスレッドがthread_function関数を実行しています。
thread_function関数内では、スレッドIDを含む文字列をdata配列に生成し、pthread_mutex_lockとpthread_mutex_unlockを使ってミューテックスによる排他制御を行いながら、shared_data配列にデータをコピーしています。
こうすることで、マルチスレッド環境でもstrcpy関数を安全に使うことができるんです。
●よくあるエラーと対処法
さて、ここまでstrcpy関数の基本から応用まで、様々な使い方について学んできましたが、実際にプログラミングをしていると、時々エラーに遭遇することがあります。
ここからは、そんなstrcpy関数を使っていてよく遭遇するエラーと、その対処法について見ていきましょう。
きっと、みなさんのプログラミングの助けになるはずです。
○サンプルコード14:メモリ不足による問題
strcpy関数を使う際に、コピー先の配列のサイズが十分でない場合、メモリ不足によるエラーが発生することがあります。
このようなエラーは、プログラムのクラッシュや予期しない動作の原因になるので注意が必要です。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char src[100] = "This is a long string.";
char dest[10];
strcpy(dest, src);
printf("コピーされた文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
コピーされた文字列: This is a
*** stack smashing detected ***: terminated
Aborted (core dumped)
このサンプルコードでは、src文字列が長すぎて、dest配列のサイズを超えてしまっています。
その結果、メモリ不足によるエラーが発生し、プログラムが異常終了してしまいます。
こういったエラーを防ぐには、コピー先の配列を十分な大きさで宣言するか、strncpy関数を使ってコピーする文字数を制限する必要があります。
○サンプルコード15:文字列終端の扱いミス
strcpy関数を使う際には、文字列の終端文字 ‘\0’ の扱いにも注意が必要です。
終端文字を含めずにコピーしてしまうと、意図しない動作につながる可能性があります。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char src[100] = "Hello";
char dest[100];
strncpy(dest, src, strlen(src));
printf("コピーされた文字列: %s\n", dest);
printf("文字列の長さ: %ld\n", strlen(dest));
return 0;
}
実行結果↓
コピーされた文字列: Hello�����
文字列の長さ: 11
このサンプルコードでは、strncpy関数を使ってsrc文字列をdest配列にコピーしていますが、終端文字 ‘\0’ を含めずにコピーしています。
その結果、コピーされた文字列の終端が正しく認識されず、ゴミデータが出力されてしまいます。
こういったエラーを防ぐには、strncpy関数を使う場合は、コピーする文字数に終端文字分の余裕を持たせるか、明示的に終端文字を追加する必要があります。
○サンプルコード16:ポインタの誤用とその修正
strcpy関数を使う際には、ポインタの扱いにも注意が必要です。
誤ったポインタを使ってしまうと、メモリ破壊などの深刻な問題につながる可能性があります。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char *src = "Hello, world!";
char *dest;
strcpy(dest, src);
printf("コピーされた文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
Segmentation fault (core dumped)
このサンプルコードでは、dest変数がポインタとして宣言されていますが、適切なメモリ領域が割り当てられていません。
そのため、strcpy関数が不正なメモリ領域にアクセスしてしまい、セグメンテーション違反が発生します。
こういったエラーを防ぐには、ポインタを使う場合は、適切なメモリ領域を割り当てる必要がありますね。
malloc関数などを使って動的にメモリを確保するか、静的な配列を使うのも一つの方法です。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char *src = "Hello, world!";
char dest[100];
strcpy(dest, src);
printf("コピーされた文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果↓
コピーされた文字列: Hello, world!
このように、dest変数を静的な配列として宣言することで、適切なメモリ領域が確保され、strcpy関数が正しく動作するようになります。
○サンプルコード17: デバッグ技法
プログラミングでエラーが発生した場合、デバッグ技法を使ってエラーの原因を特定することが重要です。
strcpy関数を使ったコードでエラーが発生した場合も、デバッグ技法を活用しましょう。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
int main() {
char src[100] = "Hello, world!";
char dest[5];
printf("コピー前: src = %s, dest = %s\n", src, dest);
strcpy(dest, src);
printf("コピー後: src = %s, dest = %s\n", src, dest);
return 0;
}
実行結果↓
コピー前: src = Hello, world!, dest =
コピー後: src = Hello, world!, dest = Hello, world!*** stack smashing detected ***: terminated
Aborted (core dumped)
このサンプルコードでは、strcpy関数の実行前後にprintf関数を使って変数の値を出力しています。
これにより、エラーが発生した時点での変数の状態を確認することができます。
また、gdbなどのデバッガを使って、プログラムの実行をステップ実行し、変数の値を監視することもできます。
これにより、エラーが発生した箇所を特定し、原因を突き止めることができます。
$ gdb ./a.out
(gdb) break main
(gdb) run
(gdb) print src
(gdb) print dest
(gdb) step
(gdb) print dest
このように、デバッグ技法を活用することで、strcpy関数を使ったコードのエラーを効果的に特定し、修正することができます。
●特殊な環境でのstrcpy関数の利用
さて、ここまでstrcpy関数の基本から応用、そしてエラー対処法まで学んできましたが、実際のプログラミングでは、特殊な環境で使われることもありますよね。
ここからは、そんな特殊な環境でのstrcpy関数の利用について見ていきましょう。
きっと、みなさんのプログラミングの幅が広がるはずです。
○サンプルコード18:組み込みシステムでの使用例
strcpy関数は、組み込みシステムでも広く使われています。
組み込みシステムでは、メモリ資源が限られているため、効率的なメモリ管理が求められます。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#define MAX_NAME_LENGTH 16
typedef struct {
char name[MAX_NAME_LENGTH];
int age;
} Person;
int main() {
Person person;
strcpy(person.name, "John");
person.age = 30;
printf("名前: %s\n", person.name);
printf("年齢: %d\n", person.age);
return 0;
}
実行結果↓
名前: John
年齢: 30
このサンプルコードでは、Person構造体を定義し、そのメンバとしてname配列とage変数を持っています。
name配列のサイズは、MAX_NAME_LENGTHマクロで定義された16に制限されています。
これで、メモリ使用量を抑えつつ、必要な情報を格納することができます。
組み込みシステムでは、このようにメモリ使用量に制限がある場合が多いので、strcpy関数を使う際は、コピー先のサイズに注意が必要です。
○サンプルコード19:ネットワークプログラムでの使用
strcpy関数は、ネットワークプログラミングでもよく使われます。
ネットワーク経由で受信したデータを文字列として扱う際に便利です。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#include <sys/socket.h>
#include <arpa/inet.h>
#define MAX_BUFFER_SIZE 1024
int main() {
int server_socket, client_socket;
struct sockaddr_in server_address, client_address;
char buffer[MAX_BUFFER_SIZE];
// ソケットの作成
server_socket = socket(AF_INET, SOCK_STREAM, 0);
// サーバーアドレスの設定
server_address.sin_family = AF_INET;
server_address.sin_addr.s_addr = INADDR_ANY;
server_address.sin_port = htons(12345);
// ソケットにアドレスを割り当てる
bind(server_socket, (struct sockaddr *)&server_address, sizeof(server_address));
// 接続要求の待機
listen(server_socket, 5);
// クライアントからの接続を受け入れる
int address_length = sizeof(client_address);
client_socket = accept(server_socket, (struct sockaddr *)&client_address, (socklen_t *)&address_length);
// クライアントからデータを受信
int bytes_received = recv(client_socket, buffer, sizeof(buffer), 0);
buffer[bytes_received] = '\0';
// 受信したデータを文字列としてコピー
char message[MAX_BUFFER_SIZE];
strcpy(message, buffer);
printf("受信したメッセージ: %s\n", message);
// ソケットを閉じる
close(client_socket);
close(server_socket);
return 0;
}
実行結果↓
受信したメッセージ: Hello, server!
このサンプルコードでは、ソケットを使ってネットワーク通信を行っています。サ
ーバーは、クライアントからの接続を待ち受け、受信したデータをbuffer配列に格納します。
その後、strcpy関数を使ってbuffer配列のデータをmessage配列にコピーし、受信したメッセージとして扱っています。
ネットワークプログラミングでは、受信したデータのサイズが変動することがあるので、バッファオーバーフローに注意が必要ですね。
受信データのサイズを適切に管理し、必要に応じてバッファサイズを調整するなどの対策が求められます。
○サンプルコード20:クロスプラットフォーム開発での注意点
strcpy関数は、クロスプラットフォーム開発でも使われることがあります。
異なるプラットフォーム間でコードの移植性を確保するために、注意が必要です。
#include <stdio.h>
#include <string.h>
#ifdef _WIN32
#define strcpy_s(dest, size, src) strcpy_s(dest, size, src)
#else
#define strcpy_s(dest, size, src) snprintf(dest, size, "%s", src)
#endif
int main() {
char src[] = "Hello, world!";
char dest[20];
strcpy_s(dest, sizeof(dest), src);
printf("コピーされた文字列: %s\n", dest);
return 0;
}
実行結果:
コピーされた文字列: Hello, world!
このサンプルコードでは、プリプロセッサディレクティブを使って、Windows環境とその他の環境で異なる実装を切り替えています。
Windowsでは、strcpy_s関数が提供されているので、それを使用しています。
その他の環境では、snprintf関数を使って、コピー先のサイズを指定しながら文字列をコピーしています。
まとめ
C言語のstrcpy関数について、基本から応用まで詳しく学んできましたが、いかがでしたか?
文字列のコピーは、プログラミングの基本ともいえる重要な操作です。
strcpy関数を使いこなすことで、より効率的で安全なコードを書くことができるようになります。
ただし、strcpy関数を使う際は、バッファオーバーフローなどのセキュリティリスクにも注意が必要です。
コピー先のサイズを考慮し、適切な入力検証を行うことが大切です。
また、特殊な環境での利用にも気をつけましょう。
本記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
みなさんのC言語プログラミングに、少しでもお役に立てれば幸いです。